なかなか、児童文学にしては、長編で読み応えのある本でした。
所々、翻訳特有の読みにくさもありましたが、楽しめる本だったと思います。
お子さんが読むなら、高学年以上向きかな？
振り仮名がふってあるので、地道に読める子なら、中学年でも内容を理解することは可能だと思います。

本の内容です。

４人の男の子の後で、待望の女の子「クリスタル」が生まれて、大喜びの八百屋のお父さんとお母さん。
そこに、もう一人、望まない男の子が最後に生まれます。
名前は「デューン」
クリスタルが輝くような美少女なのに、デューンは、黒い髪の、あまりお母さん好みでない風貌で、おかあさんの興味はクリスタルのみに注がれて、デューンはほったらかしでした。

そして、クリスタルは、いけ好かない、傲慢で、我儘で自分中心のいやな子どもに育っていくのです。
クリスタルが巻き起こす事件の数々と、それの尻拭いをする愚かなお母さんの影で、ひっそりと、その才能を育てているデューン。
天性の才能をもったデューンの輝きに気がついた、クリスタルは、底意地の悪さを発揮して、とことん、意地悪したり、邪魔したり、策略を練って、デューンの成功の邪魔をします。

　でも、デューンは才能だけでなく、人にも恵まれているのです。
デューンの才能と心根の優しさに魅せられた人たちが、味方になり、ファンになり、デューンのバレエダンサーへの道のりを、作っていってくれるのです。

　家族の応援も得られず、クリスタルには意地悪され、お母さんには冷たくされ、それでも、バレエの好きなデューンは踊るために、必死で頑張ります。

　最後は、クリスタルも成長して、デューンの才能を認めるのです。

　クリスタルは、「キャンディ・キャンディ」で言えば、「イライザ」のような性格。憎まれ役の美少女といえます。
　デューンの才能は、これでもかと本から飛び出してきます。

　本当に好きなものの為には、なかなか手に入らなければ入らないほど、子どもは努力するんだなと思いました。
　これを読んで感じたのは、今の子（家の子も含め）に足りないのは、欲するより先に与えられてしまうことかも。
　それは、本人にとっても、あまり幸せなことではないと思いました。